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楯野川がもっとわかる虎の巻

第三巻は酒造好適米についてご紹介いたします。

第三巻「酒造好適米について」

酒米

酒造好適米とは

酒造りに適するように開発された米を酒造好適米(または酒米、醸造用玄米)と言います。食用米より粒が大きくタンパク質含有量が少ないのが特徴で、その中心部には白く濁って見える心白があります。日本酒製造の最初に、できるだけお酒の雑味を出さないために、お米の周りを精米します。良い酒米の条件は以下の通りです。

  • 外観:精米しやすい大粒であること
  • 内部:米の中心部に心白があること
  • 酒造適性:心白発現率、精米適正、タンパク質含有量、吸水性、製麹性 他

山形県産酒造好適米を使う理由

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酒米栽培は手間がかかり、1反(300坪、約992.㎡)当たりの収穫量が限られているため、食用米よりも割高で取引されています。現在、100種類を超える酒造好適米がありますが、弊社では以下の理由のため、日本酒製造量の8割以上で山形県産の「出羽燦々(でわさんさん)」と「美山錦(みやまにしき)」を使用しております。

  • 庄内地方は有数の穀倉地帯として、稲作が古くから営まれていることから、地元の農業に貢献したい
  • 山形県産の酒米を使い、山形の風景が思い浮かぶような地酒で国内外にYAMAGATAをPRしたい
  • 酒米栽培から日本酒製造まで、一貫して造り手の顔が見えるようにしたい

出羽燦々と美山錦について

楯の川酒造が使用している酒造好適米について簡単にまとめました。

出羽燦々 美山錦
酒米の系統 1985年(昭和60年)、山形県立農業試験場が「美山錦」を母に、「華吹雪」を父として交配・育成した品種 1972年(昭和47年)、長野県農業試験場が「たかね錦」にγ線照射処理し、突然変異によって誕生した品種。山形県では、1988年(昭和63年)に優良品種に採用された
酒米の特徴 「美山錦」と比較し、心白が多く、耐倒伏性、耐冷性、吸水性に優れている。収穫時期は「美山錦」より少し遅い 耐冷性が強いので、東北地方でも多く栽培されている。収穫時期は「出羽燦々」より少し早い
名称の由来 山形県には日本百名山・日本百景にも選ばれた鳥海山(2236m)を中心に、1000m以上の山々が33あることから印象的な酒米名を目指し、「出羽燦々」と命名された 北アルプス山頂の雪のような心白があることから美山錦と命名された
酒質の影響 酒米が比較的柔らかいので、米の味が出やすい 酒米が比較的硬いので、米の味が出にくい

酒造好適米の栽培条件

酒造好適米は食用米より大粒のため、その稲の背丈が高く、穂も長いため、倒伏しやすい特徴があります。栽培条件としては、以下の4つが挙げられます。

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  • 1. 朝晩の寒暖の差が大きい場所であること
  • 2. 栄養分を豊富に含んでいる土壌であること
  • 3. 苗の間隔をあけ、日当たりや通気性が良いこと
  • 4. 栽培技術・調整技術に長ける農家がいること

契約栽培米の取り組み

2005年(平成17年)より、弊社は地元の稲作農家さんと直接契約する取り組みを始めました。純米大吟醸の原料は、「米」と「水」であり、「米」の出来が品質に大きく影響しますが、日本酒の主原料である「米」の調達に関しては酒造組合や米問屋に一任している蔵元が多いのが現状です。酒米栽培の難しさや農家の高齢化、跡継ぎ不足など、農業を取り巻く環境は厳しく、先行きの不安な状況にあり、これでは安定的に良質な酒米を調達できなくなるのではないかと考えました。「地元の酒米を自社精米し、酒を醸す。」この何でもないようなことが、日本酒造りの原点だと考えております。契約農家さんに酒米栽培についてインタビューを行いました。

Q1: 食用米と酒造好適米の違いは何ですか?

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A1: 酒米は食用米に比べ、稲の背丈が高いので、茎を太く、短く育てるようにしています。苗の時点で酒米の出来が3割位決まってしまいます。また、米が大粒なので、害虫が付きやすく、倒れやすい。心白については天候次第な部分があるので、難しいです。田圃(たんぼ)の条件もそれぞれ違うので、経験と技術が重要です。

Q2: 日本酒業界全体で、酒米不足が深刻な問題となっていますが、状況はいかがですか?

A2: 減反政策も見通しが立ったことで、休耕していた田圃を再開しました。食用米は価格が下がり続ける中で、酒米は値崩れせず、出荷規格基準を満たしているものは買い取ってもらえるので、収入も安定し契約栽培のありがたさを感じています。

Q3: 良い酒造好適米を造るために、他に取り組んでいることはありますか?

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A3: 安定した数量と良質な酒米を造るために、2010年(平成22年)から、酒米研究会を立ち上げ、年に数回のペースで契約栽培農家の田圃視察や情報交換の場を持っています。契約栽培農家同士、さらには蔵元とのコミュニケーションも深まり、そこから生まれる信頼関係が安心感に結び付いて、より良い酒米が造れるようになってきていると思っています。

参考文献

  • 酒米に関する資料(山形県酒造適正米生産振興協議会)
  • 酒造教本(財団法人 日本醸造協会)
  • 清酒製造技術(財団法人 日本醸造協会)
  • 日本酒の基(NPO法人FBO)
  • 酒造好適米の栽培テキスト(ASK稲作研究会)
  • ウィキペディア(フリー百科事典)